
従来の有機EL素子では、輝度を上げるとその効率も寿命も著しく低下してしまう問題点がありました。ディスプレイレベルの輝度では高い効率と数万時間を越える寿命が達成されているものの、照明ではその数倍以上もの輝度を必要とするため、効率、寿命共に大幅に低減してしまいます。この難点を克服する技術がマルチフォトン素子技術で、これは複数の素子を積み重ねた構造を持ち、等価的に直列に接続された素子として動作します。素子と素子との間の層には、通常の電極の代わりに電荷発生層と呼ばれる特殊な層を用いることで、無駄なく直列接続を実現することができます。
このマルチフォトン素子は通常の素子と比べ、同一輝度を出すためには電流は段数分の1に減り、代わりに電圧が段数倍必要となります。トータルの電力はほぼ同一であるため、効率は変わりませんが、駆動電流が低減するため寿命特性に対して非常に有利になります。
また、積層する素子構造として、異なるスペクトルの素子を重ね合わせるヘテロマルチフォトン素子構造を用いると、光源としてのスペクトル設計が容易で、高演色かつ高効率な発光パネルが自在に実現できる特長を持ちます。
有機EL素子の高効率化の為には、量子効率を上げること、駆動電圧を下げること、光の取出し効率を上げることの三点が必要です。量子効率を上げるためには、素子構造の最適化、更には抜本的に効率改善を可能とするりん光素子・材料の開発などを行っています。駆動電圧を下げるためには、新規の電荷輸送材料の開発や化学ドーピングを効率よく行える材料の開発とそれらを用いた素子構造の最適化を、またガラス基板内や有機層内に閉じこめられる光を外部に誘導する光取出し構造などを各種検討しています。
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